賃貸経営コラム

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賃貸物件の
修繕義務について

弁護士 村本むらもと 拓哉たくや

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所

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今回は内装や設備に不具合がある場合や、異臭•生物による不具合がある場合の賃貸人の修繕義務について解説をいたします。

1. 内装や設備の修繕義務について

修繕義務は、契約締結時に予定されていた目的物の正常の範囲内での使用に必要な限度において肯定されます。そして、建物の賃貸借の対象に内装や設備を含めた時には、内装や設備の修繕義務が生じます。例えば、空調設備、ロールカーテン、給湯器、エアコン、照明について、賃貸人の修繕義務を認めた裁判例があります。

また、例えば、理髪店の内装、諸設備が賃貸借の対象であったところ、椅子、鏡、シャンプー台、蒸し器、湯沸器、クーラー及び暖房機については、賃貸借契約の賃貸物とする旨の合意が当事者間で成立していたという理由で、賃貸人の修繕義務を認めた裁判例もあります。

他には、飲食店(ショットバー)の賃貸借における排気フードについて、排気フードの汚れにより排気に支障が生じる状態にあったという理由で、賃貸人の修繕義務を認めた裁判例もあります。

さらに、印刷会社が印刷機械を含めて建物を賃貸していた事案において、賃貸人の印刷機械の修繕義務を肯定したという裁判例もあります。

他方、以上のような内装や設備の修繕義務を賃借人が負担するという特約があれば、原則として賃貸人は修繕義務を負担しないことになります。

2.異臭•生物について

飲食店の異臭について賃貸人の修繕義務を認めた裁判例があり、悪臭が発生している状況下では、お店の営業を行うことが著しく困難であり、客観的に見て賃貸借契約の目的を達成することができない状況であったという認定をし、また、悪臭が、天井裏にある排気管の破損が原因であるという認定をして、修繕義務を肯定しています。

他方で、飲食店における生物(ネズミ)の出没については賃貸人の修繕義務を否定した裁判例もあるようで、「ネズミ等の生物が侵入するようになって、建物の使用に影響が生じるようになったとしても、ネズミ等の当該生物と建物を使用する賃借人の使用状況との相関関係によって生じる事態であって、基本的には賃貸人の管理の及ばない事項である以上、建物に侵入したネズミの事後的駆除及び対策は、建物の構造上の問題を原因とするような場合を別として、建物を占有する賃借人が行うべき事柄というべきである。」と判断されています。

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