賃貸経営コラム

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不動産を強制的に
明け渡す方法について

弁護士 しん 景秀きょんす

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所

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不動産のオーナー様からご相談で多いのは、「建物を貸しているが賃料を滞納している人がいる」、「賃料を支払わないので出て行ってもらいたい」、「満期で出て行ってもらいたい」という内容です。そこで、本記事では、「賃料滞納している賃借人に対して、明渡しを請求する方法」について解説します。以下では、建物を貸している人を「貨貸人」、借りている人を「賃借人」と呼びます。なお、契約を満期で終了させる場合は借地借家法上の要件を満たす必要があり、この記事では解説していません。

●不動産明渡しまでの流れ

1. 賃貸借契約の解除通知

賃借人が賃料を滞納していたとしても、原則として賃貸借契約が自動的に解除になるわけではありません。解除の意思表示をする必要があります。そのためにまずは賃借人に対し、賃貸借契約の解除を通知する書面を送ります。解除の通知は裁判上で証拠として使えるように、内容証明郵便(配達記録付)や特定記録郵便の方法で送ります。ただし契約解除にはルールがあり、1カ月の滞納では解除はできないと考えられています。概ね3カ月程度の賃料滞納があれば、契約の解除が認められやすくなります。

2.裁判

次に、賃貸借契約が解除されたにもかかわらず賃借人に任意に出て行ってもらえない場合は、裁判所に不動産の明け渡しを求める裁判を起こす事になります。
基本的には、不動産がある場所や相手の住所地を管轄する地方裁判所に提訴します。賃料滞納の場合、賃借人が1回目の裁判期日に欠席して答弁書も出さないことも多いのですが、その場合は原則として裁判は1 回の期日で終結し、後日判決が言い渡されます。もし賃借人がなんらかの反論をしてきた場合は、審理が継続します。

3. 判決

貨貸人の主張が認められた場合は「不動産を明け渡せ」という判決がされます。上記のように1回目の期日で裁判が終わった場合は大体、提訴から2カ月くらいで判決を得ることができます。

4. 強制執行申立

ただ、判決が出たとしても、貨貸人が勝手に賃貸物件に入って強制的に荷物を出すことはできません(自力救済の禁止というルール)。賃借人が任意で出て行かなかったり、賃借人が行方不明の場合は、裁判所に「強制執行の申立て」をする必要があります。

5. 明け渡しの催告

強制執行は、まず、執行官と立会人、執行補助者(引越屋等)と一緒に物件に行き「明渡しの催告」をします。そこで、実際に強制執行をする日(断行日) を書いた公示書張り出して告知します。また、建物であれば賃貸物件の中に入り(賃借人が不在の時や居留守のときは、強制的に解錠して入る時もあります)、中の状況を確認します。断行日は、催告に行った日 から、大体3週間~4週間の日 に指定されることが多いです。

6. 明け渡しの断行

断行日になっても賃借人が出て行かない場合は、執行補助者により部屋の荷物を強制的に運び出します。場合によっては、家の鍵交換を行います。運び出した荷物は、執行官の指示によって廃棄か一定期間保管することになります。こうして建物は明け渡しが完了となります。紙面の都合上割愛しましたが、土地の明け渡しの場合は建物を強制的に取り壊す手続も用意されています。

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