賃貸経営コラム

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プロの弁護士による!法律講座

立退料の性質と
金額の決め方について

弁護士 遠藤えんどう 吏恭りく

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所

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家主が借主と何らかのトラブルになったときなど、借主に対して立退料を支払うことを検討する場面が出てくると思います。ここでは、立退料算定の際に、考慮すべき要素について述べてみます。

立退料がいくらとなるか、そもそも支払う必要があるのか、ということは賃貸人側と賃借人側の賃貸借関係をめぐる一切の事情を考慮した結果決まるので、計算式のようなものがあるわけではありません。ですが、こうした事情があれば立退料が必要になる、あるいはこうした事情があれば立退料はなくてもいいのではないか、というように立退料の有無、金額に影響を与える要素は存在します。

●立退料が高くなりうる事由(借家の場合)

1. 借家人が住居として使用する必要がある場合

賃貸家屋が単に物置として使われている場合などは、借家人が賃貸家屋を使う必要性は比較的低くなりますが、住居として生活の拠点にしている場合には、使用の必要性が認められ、立退料を高くする方向に働きます。
もっとも、この場合でも借家人にほかに転居できる十分な資力が認められるなどの場合には、家屋を必要とする程度が多少下がりますから、立退料が高くなることにつながらない可能性もあります。

2.借家人が営業として家屋を使用する必要がある場合

賃貸家屋が、店舗として使用されていた場合にも、使用の必要性が認められて立退料を高くする方向に働きます。この場合の借家人の不利益は経済的なものですが、個人で経営しているお店の場合、生活に関わる問題ともなりますから、より立退料を高くする方向に働くでしょう。

3. 借家人が家屋を長期間使用している場合

借家人が家屋を長期間使用している場合、近隣における人間関係が構築されていることがあります。また、たとえば賃借人の子の学校などの生活環境が変わるということもあります。そのため賃借人において現在の家屋の使用の必要性が高いものと言えますから立退料は高くする方向に働くことがあります。

●立退料が安くなりうる事由(借家の場合)

1 .家主が借家を住居として使用する必要がある場合

家主の家が災害で倒壊した、家主自身が賃借人であり地主から立ち退きを求められたなどの場合は、立ち退きを求める必要性が高いものと言えますから、立退料を比較的安くする事情として働きます。

2.家主の家族等が住居として使用する必要がある場合

家主が高度の介護を必要とすることになったため、自身の近くに親族を居住させる必要がでてきた場合なども家主にとって使用の必要性が高まりますから、立退料を安くする事情となりえます。

3. 賃貸家屋を立て替える必要がある場合

賃貸家屋に老朽化が見られる、耐震構造を満たしていない、あるいは建築基準法に基づく勧告を受けているなどの場合も、立ち退きを求める必要性が高いものと言えますから立退料を安くしうる事情となりえます。

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