賃貸経営コラム

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事業承継について

2022.09.21

弁護士
村本拓哉 氏

村本拓哉 氏
コラムイメージ

今回は事業承継について考えてみたいと思います。
【1】事業承継にはどのような資金が必要になるか
①自社株式や事業用資産の買い取り資金企業において、会社を安定的に経営するには、自社株式の3分の2以上を後継者が所有していることが必要です。そのために後継者が自社株式を購入する資金が必要となる場合があります。また、企業において、事業用資産が会社名義ではなく、現経営者の個人名義となっている場合もあります。その場合、事業用資産を会社で買い取るのが一番良いのでしょうが、資金的に難しい場合は、後継者が買い取る必要があります。
②相続税や贈与税の納税資金
相続や贈与によって、現経営者から後継者へ、自社株式や事業用資産が移転する場合には、多額の相続税や贈与税が発生する場合があります。そのために納税資金を準備する必要があります。
③運転資金
事業承継によって経営者が交代する場合、会社の信用力が低下することがあります。その結果、融資の条件が厳しくなったり、取引先が取引の規模をしばらく縮小したり、代金の支払いの時期を引き延ばしたりすることがあり、会社として一時的に運転資金に支障をきたす場合が出てきます。
【2】資金の調達方法にはどのようなものがあるか
①金融機関からの借り入れ
会社が従来取引をしていた金融機関から借り入れをすることが考えられます。
②経営承継円滑化法による金融支援を利用する
経営承継円滑化法では、事業承継に必要な資金について、通常の融資方法よりも有利な条件で借りることのできる措置を設けていますので、その利用を検討することをお勧めします。
③日本政策金融公庫の特別融資を利用する
日本政策金融公庫には、自社株式の取得を行う会社への融資制度や、M&Aを行う会社への融資制度があります。
【3】経営承継円滑化法による金融支援について
①金融支援の内容
認定を受けた中小企業やその代表者に対して信用保証協会の保証枠の拡大や、後継者個人への融資などの特例が設けられています。
②認定をうける要件
以下のようなものが認定を受けられる典型例です。
(ア) 相続に伴い後継者以外の相続人に株式などや事業用資産が分散したので、それを取得する必要がある。
(イ) 企業の代表者が、相続や贈与等により取得した自社株式、事業用資産などについて多額の納税が見込まれる
(ウ) 企業の代表者が死亡したか退任した後の3か月間における売上高または販売数量が、前年同期の3か月間における売上などの80%以下に減少されることが見込まれる。
③信用保証協会の保証枠の拡大
企業が金融機関から借り入れる際に信用保証協会の保証がつくことがあります、それに対して保険が掛けられていますが、経営承継円滑化法に基づく認定を受けた企業はその信用保険の拡大が認められます。通常は普通保険(2億円)、無担保保険(8,000万円)、特別小口保険(1,250万円)となっていますが、別枠化されることで最高5億8,000万円まで保険枠が拡大することになります。このことにより、信用保証協会の保証枠も実質的に別枠化されるため、金融機関からの資金調達が容易になります。
④中小企業の後継者への融資
経営承継円滑化法に基づく認定を得ることで、日本政策金融公庫の融資の特例として後継者個人への融資を受けることが出来ます。
金利については、通常の金利(基準金利)ではなく、特別に低い金利(特別利率)が適用されます。2022年1月4日時点で基準金利は1.06%~1.35%、特別利率は0.41~0.95%となってます。

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